”本当にアフターケアは必要なの?”

勤務医時代に調査したのですが、上の歯を全てインプラントで治して、AGCブリッジという着脱の簡単な上部構造を使っている患者様79人を対象に693本のインプラントについて長期経過を追いました。

3ヶ月に一度、必ずインプラント上部構造を外してアフターケアを行った後の結果では、693本のうちの22%が腫れたこと(インプラント周囲粘膜炎)があり、1.74%が骨が少し溶けた状態(インプラント周囲炎)になったことがありました。

『2割以上も腫れていたの!?』と思われますが、これはインプラントの周りの組織が腫れていても定期的にチェックができていて、炎症が広がる前に対処したために問題なく使えていたという証拠です。腫れても進行する前に治癒してしまえば問題はありません。進行が早くて骨が溶けてしまったのが1.74%あったということです。それでも1.74%のうちの全てのインプラント使えなくなってしまったわけではありません。使えなくなってしまったのは全体のインプラントのうちの0.7%でした。

しかし、海外の文献では標準的な治療をしてから10年くらい使用すると、約5割のインプラントの周囲の粘膜が腫れたことがあり、また約2割のインプラントの周囲では炎症が骨にまで波及し、骨が溶けていたという報告もあります。厳重にインプラントのアフターケア行うことでトラブルを起こす確率を減らす可能性があると考えています。

このことから当院ではアフターケアを重要視しています。

*この調査の結果は一つの医療機関で行われたものであり、全ての方が同じ条件にあてはまるとは限りません。