インプラントが義歯やブリッジなどの従来の治療にかわり、

欠損補綴の治療オプションとして登場し、華々しい成功を収めています。現在では、補綴主導型のインプラント治療の概念が導入され、様々な骨・軟組織造成の手法を用いて、すばらしい審美性を伴う治療結果を得ることもできるようになりました。しかしながらこのような成功の反面、我々歯科医が長期にインプラント治療の経過を追っていく中で、様々なトラブルに出会うことも少なくないのが現状です。

インプラント治療は外科処置を伴い、補綴治療へと続く歯科における総合治療であり、様々な歯科医学的な知識と技術が必要になります。治療期間も比較的長く、患者の肉体的、精神的、経済的負担も少ないとはいえません。このような幅の広い治療において、そのマイナスの面となる合併症に関して詳細に分析することは、インプラントの安心・安全。確実な治療を行う上で不可欠のものであると思われます。

このような観点から九州インプラント研究会(KIRG)では2005年、患者総数1,001、インプラント総本数3,264本でインプラントの合併症に関して20項目を取り上げ、その発生頻度について統計調査を行いました。大きく分けると感染など炎症による合併症と、ポーセレンの破折やスクリューの緩みなど,インプラント上部構造に起因する合併症とに二分されますが、その他の分野として手術に起因する合併症 (事故)が存在します。