”ガイデッドサージェリー”とは

インプラントを埋入する手術を行う際に、あらかじめ想定した位置を示す装置(=サージカルガイド)を用いた手術法をいいます。この方法は使用するサージカルガイドの目的により分類できます。

1)インプラントを埋入する部位のみをガイドするもの

2)インプラントを埋入する部位と方向をガイドするもの

3)インプラントを埋入する部位と方向と深さをガイドするもの

本来、CT(コンピューター断層撮影)による骨の3次元的な形態観察ができない場合には上記1)または2)のタイプのガイドを用い、2次元のレントゲン写真を参考に顎骨の形態を手術中に目視にて確認しながら手術に臨みました。この方法では直視できない骨の中の構造を把握できないため、手指の感覚や経験による技術の熟練が不可欠とされました。上位指導医の指示のもと、術前の診査により危険度が低いと判断された症例から始め経験を重ね、患者さんの期待に応えられるようになりました。

さて、現在ではCTの普及が進み、顎の骨の形態を把握できるようになり、上位指導医とのディスカッションが具体化することで、治療の安全性が向上しました。私が初めてインプラント治療に従事することになった2004年には既に恩師のクリニックに歯科用CTがあり、毎度の術前症例検討では3次元画像により具体的な指導を受けることができました。その後も必ずCTで診査した上で手術を行ってまいりました。

少し話がずれましたが、CTの画像の中に埋入予定のインプラントを映してシミュレーションするソフトとそのデータからサージカルガイドを製作する機械の開発により、上記2)や 3)のタイプの精度の高いサージカルガイドを使用できるようになりました。このようにCTデータを用いた治療プランニングから手術に渡る一連の流れををデジタルサージカルガイデッドサージェリーと呼んでいます。

いずれの治療法も理想的な結果に近づけるための手段であり、それぞれに一長一短があり、使用しなければ失敗してしまうわけでもありません。どのようなことで歯を失うことになったのか、歯を失ってからの骨の治り具合がどの程度なのか、本当にインプラント治療が必要な状態なのかなど、個人個人の条件を問診と検査から総合的なカウンセリングで治療計画を提案しております。